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相続した古家を放置していませんか?大阪市の長屋倒壊から考える空き家対策

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相続した古家や長屋を、「今すぐ困っているわけではないから」とそのままにしていないでしょうか。
結論から言うと、相続した古家は「すぐに売る」必要はありませんが、建物の状態だけは今のうちに把握しておく必要があります。人が住んでいない家は傷みに気づきにくく、ある日突然、近所を巻き込む問題に変わることがあるためです。
2026年10月4日、大阪市生野区で長屋の一角が倒壊し、道路をふさぐ出来事がありました。町屋くらぶの事務所がある生野区での出来事です。本記事では、このニュースと町屋くらぶに実際に寄せられた相談をもとに、相続した古家を放置するリスクと、売却・解体・管理のどれを選ぶかの考え方をお伝えします。
※本記事は2026年10月7日時点で公表されている情報をもとにしています。
目次
大阪市生野区で起きた長屋の一部倒壊
2026年10月4日(日)の午前11時ごろ、大阪市生野区中川西1丁目で家屋の一部が倒壊しました。人的被害はありませんでしたが、大阪市の10月5日の発表時点では、倒壊した建材によって前面の私道が通れず、安全確保のための通行制限が続いています。
報道によると、倒壊した部分には20年近く人が住んでいませんでした。それでも、棟続きの長屋にほかの居住者がいたため、倒壊前は空家法上の「空家等」として扱われていなかったといいます。倒壊後、大阪市は倒壊部分を「別個の建物」と判断し、空家法上の空き家として撤去に向けた対応を検討していると伝えられています。
一部が無人になっていても、長屋は空き家としての対策の網にかかりにくい。今回のニュースは、その難しさを浮き彫りにしました。「古いけれど、まだ大丈夫」と思われていた建物でも、劣化は外から見えないところで少しずつ進みます。とくに相続した家は自分が住んでいないため、変化に気づくのが遅れがちです。相続した古家を持っている方にとって、決して他人事ではありません。
相続した古家を放置すると何が起こる?
放置された古家で起こる問題は、建物が傷むことだけではありません。自然災害をきっかけに傷みが一気に表に出て、周りの人にまで影響が及ぶ点が本当の怖さです。
建物の老朽化は住んでいなくても進んでいく
「誰も住んでいないから傷まない」と思われがちですが、実際は逆です。窓を開けて換気する人も、ちょっとした異変に気づく人もいなくなるため、傷みが進んでも発見が遅れます。
放置された古家でよく見られる傷みは、次のとおりです。
- 雨漏り
- 外壁のひび割れや剥がれ
- 屋根瓦・屋根材のずれや割れ
- 手すりなど鉄部のサビ
- ブロック塀やフェンスの傾き
- テレビアンテナなど付属物のぐらつき
台風・大雨・強風をきっかけに一気に危険が表面化することも
普段は問題なさそうに見える建物でも、強い風や大雨が引き金になって、外壁や瓦、アンテナが落ちることがあります。劣化した建物では、災害時に被害が大きくなる可能性があります。
台風や大雨は毎年のように大阪にもやってきます。「次の台風までに一度見ておく」くらいの意識が、放置との分かれ目になります。
周囲への影響も考えなければならない
古家の問題は、所有者だけの話では終わりません。影響が及ぶ可能性があるのは、たとえば次のような相手です。
- 壁や屋根でつながっている隣家
- 前の道を歩く通行人
- 道路を使う近隣住民や車
建物の設置や保存に問題があり、それによって他人にけがをさせたり隣家を傷つけたりした場合には、民法717条にもとづき、占有者や所有者が損害賠償責任を負う可能性があります。きっかけが台風や大雨でも、日頃の管理不足が被害を大きくしたのであれば、単なる自然災害では済まされないこともあります。
行政の対応も変わってきています。2023年の空家法改正で、放置すれば危険な状態になるおそれがある「管理不全空家等」も、指導や勧告の対象になりました。「特定空家等」または「管理不全空家等」として市から勧告を受けると、その敷地は住宅用地の特例から外れ、固定資産税・都市計画税の負担が増える場合があります。なお、指導を受けただけで直ちに特例が外れるわけではありません。
✓ポイント:古家の放置で一番怖いのは、建物が傷むことそのものより、災害をきっかけに近所の人を巻き込んでしまうことです。住んでいなくても所有者には適切な管理が求められ、事故が起きた場合には法的責任を問われる可能性があります。
「処分したほうがいい」と分かっていても動けない理由
相続した古家をそのままにしている方の多くは、放置がよくないことを分かっています。それでも動けないのには、ちゃんと理由があります。
思い出のある実家だから簡単には手放せない
祖父母や両親と過ごした家、子どもの頃に走り回った廊下。そうした記憶が詰まった家を、「不動産だから合理的に処分すればいい」とは、なかなか割り切れません。売却を考えるたびに気持ちが重くなるのは自然なことです。
家財や荷物の片付けを考えると億劫になる
家具や昔の生活用品、趣味の道具など、相続した家には荷物があふれていることがよくあります。「売る前に全部片付けないといけない」と思い込み、その手間を想像しただけで止まってしまう方も少なくありません。実際には、荷物が残ったまま買い取ってもらえるケースもあります。
日常生活が忙しく、つい後回しになる
仕事や家庭のことが優先され、「今年中には」「時間ができたら」と先送りしているうちに、気づけば数年が過ぎていた。相続した古家では、この流れがいちばん多いパターンです。
町屋くらぶにもあった「1年間決断できなかった」相続不動産の相談
町屋くらぶにも、まさにこの「分かっているけど動けない」状態が1年続いたご相談がありました。
相続した102坪の土地に古い鉄骨アパートが残っていた
相談者は、以前から付き合いのある商売人の方です。1年ほど前、世間話の途中でふと「相続した不動産があるねんけど、な~んにもしてへん。ほったらかし」と打ち明けられました。
102坪の敷地には、誰も住んでいない古い鉄骨アパートと、和風の一戸建てが建っていました。「それ、建物は達者なん?」と聞くと、「ううん。やばいと思うで」という返事です。
所有者も「何とかしないと」と分かっていた
「最近は気候もおかしいし、大阪でも何年か前に暴風があったやろ。瓦や看板でも飛んだら、えらいこっちゃで」「いつでも言うて。近くやし、すぐ見に行くよ」。そう声をかけましたが、返ってくるのは「何とかせなあかんのは分かってるけど、仕事に追われて手が回らへん」という言葉でした。そんなやり取りが、会うたびに約1年続きます。
物件は町屋くらぶの近所だったため、通りがかるたびに外壁や11段積みのブロック塀を気にかけていました。アパートの外壁は劣化が激しく、鉄骨の手すりや数本のテレビアンテナは、少しでもグラッと来たら危なそうな状態です。その状況は、ご本人もよく分かっていました。
売れなかった理由ではなく「決断できなかった理由」があった
あるとき「実際のところ、何をためらってるの?」と尋ねると、本当の理由が見えてきました。
- 同じ敷地の和風の家で、祖父や両親と過ごした子ども時代の思い出がある
- 敷地が広いのをいいことに、不用品をたくさん置いている
- キャンプ道具や釣り具、カヌーなど、今はあまり使わない趣味の道具も保管している
- 日々の仕事が忙しく、整理に向き合う時間がない
問題は「売れる・売れない」ではなく、所有者自身の気持ちの整理でした。
転機は、今年の大雨です。6月には大阪でも大雨の被害があり、九州や関東でも大雨災害が続いたことで、さすがに心配になったのでしょう。お盆休みに一緒に現地を確認し、売却に向けた媒介契約を結ぶことになりました。
✓ポイント:相続した古家が動かない背景には、たいてい「気持ち」と「荷物」の問題があります。そこを急かさずに受け止め、最後は相続した方自身に決めてもらうことが、結果的にいちばんの近道になります。
空き家は「すぐ売る」だけが正解ではない
相続した古家の対策は、売却だけではありません。大事なのは、建物の状態を知ったうえで、自分に合う選択肢を選ぶことです。
まずは建物の状態を確認する
最初にやるべきなのは、危ない箇所がないかの確認です。外壁、屋根、塀、アンテナ、庭木、雨漏りの跡を見て回るだけでも、急いで手を打つべきかどうかが分かります。遠方に住んでいて見に行けない場合は、不動産会社に現地確認を頼む方法もあります。
あわせて、名義の確認も欠かせません。2024年4月から相続登記が義務になり、それ以前に相続した不動産でも、登記がまだなら原則として2027年3月31日までに申請が必要です。すぐに売らなくてもよい一方で、管理と相続登記は放置しない。この2つを押さえておけば、どの選択肢を選ぶにしても慌てずに済みます。
今後どうしたいかを整理する
相続した古家の主な選択肢を比べると、次のようになります。
選択肢 向いているケース 気をつけたい点 そのまま保有する 将来使う予定がある 定期的な点検と、固定資産税などの維持費がかかり続ける 修繕して自分や家族が使う 建物の傷みが軽い 修繕費が想定より膨らむことがある 賃貸に出す 立地がよく、借り手が見込める 貸せる状態にするための改修費と管理の手間 古家付きのまま売る 解体費をかけずに手放したい 価格は建物の状態や立地で大きく変わる 解体して土地として売る 更地のほうが買い手がつきやすい立地 解体費の負担と、土地の固定資産税の特例が外れる点 不動産会社に買い取ってもらう 早く、荷物ごと手放したい 一般の売却より価格は下がりやすい 売却するか決める前でも不動産会社へ相談していい
「売ります」と決めてからでないと不動産会社に相談できない、ということはありません。どうすればいいか分からない段階で相談したほうが、選択肢を落ち着いて整理できます。町屋くらぶでも、まずは現状の確認と選択肢の整理から一緒に始めています。
古い家だからといって「解体してから売る」と決めない
古い家を売るなら先に解体したほうがいい、と考える方は多いのですが、決める前に確認したいことがあります。
古家付き土地として売れる可能性もある
築年数が古くても、古家付き土地として売れることは珍しくありません。リフォームして住みたい人や、自分で建て替えたい人、買取再販を手がける業者など、建物が残っているほうが都合のよい買い手もいます。
解体費用をかけても回収できるとは限らない
解体には数百万円かかることもあり、その分が売却価格に上乗せできるとは限りません。税金の面でも、住宅用地の特例が適用されている土地では、建物を解体して翌年1月1日時点で住宅の敷地でなくなると、原則として土地の固定資産税・都市計画税の特例が受けられなくなります。ただし、建物分の固定資産税はなくなるため、税負担全体が必ず増えるとは限りません。
とくに長屋の一部だけを解体する場合は、建物の構造や界壁、所有関係によって、隣家との調整や切り離した壁面の補修が必要になることがあります。また、今は建物が残っていても、接道条件などが現在の建築基準法の要件を満たしておらず、解体後は原則として再建築できない土地もあります。特例の認定・許可を受けられる可能性もあるため、解体前の確認が欠かせません。
なお大阪市では、対象地区や建物の要件を満たす場合に、老朽住宅の除却費用を補助する制度があります。長屋の一部解体も条件付きで対象になっています。
まず現状のまま査定してもらう
「そのまま売る」「解体して売る」「買い取ってもらう」の3つは、手元に残る金額がそれぞれ違います。解体業者に見積もりを取る前に、現状のままで査定を受けて比べるのが安全な順番です。
相続した空き家を売る場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる税制特例もあります。対象となる家屋や売却時期などの条件が細かいため、解体や売却の前に税理士などへ確認しておくと安心です。
✓ポイント:古い家ほど「解体が先」と思い込みがちですが、長屋や狭い道沿いの家では、解体がかえって選択肢を狭めることがあります。判断は現状のままの査定を見てからでも遅くありません。
相続した古家で「そろそろ相談したほうがいい」サイン
次のうち2〜3個当てはまるなら、一度現状を確認しておく時期です。
- 1年以上、ほとんど建物を見に行っていない
- 外壁や屋根が傷んでいる
- ブロック塀が傾いている
- 雨漏りしている可能性がある
- 庭木や雑草が伸び放題になっている
- 近所の方から連絡をもらったことがある
- 家財が大量に残っている
- 「いつか処分しよう」と何年も思っている
1つでも当てはまれば、それだけで建物は「見てもらう価値がある」状態です。相談したからといって、売却を決めなければならないわけではありません。
まとめ:思い出のある家だからこそ、急がせないのが町屋くらぶ流
相続した家は、単なる「売る物件」ではありません。所有者が気持ちを整理する時間も必要です。ただ、建物の劣化だけは待ってくれません。生野区の長屋倒壊は、そのことを改めて教えてくれる出来事でした。
「今すぐ売りましょう」という話ではありません。今の状態を知っておくことが大切なのです。まずは建物の状態と今後の選択肢を整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。
大阪市生野区の株式会社町屋くらぶは、行政書士が運営する不動産会社です。1年かけて決断を見守った相談のように、売却を急かさず、状況を確認しながら一緒に考えます。「古すぎて売れないかもしれない」「荷物が残っている」「解体したほうがいいか分からない」。そんな大阪市内の“困った不動産”こそ、町屋くらぶへご相談ください。査定は無料で承っています。
