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借地権付きの古家は売れる?大阪で実際にあった3件の売却相談

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大阪市内で借地権付きの古家や長屋を持っていて、「借地の家なんて本当に売れるのか」「地主さんが買い取ってくれないだろうか」と気になっている方は少なくありません。
結論からお伝えすると、借地権付きの古家は売却できます。ただし、路線価や借地権割合から算定した税務上の評価額と、実際の売買価格は別物です。地主さんの承諾や承諾料、毎月の地代といった、普通の不動産にはない事情が価格に響くためです。
この夏のお盆休み、大阪市生野区の株式会社町屋くらぶには、借地権付き古家の売却相談が立て続けに3件届きました。どの方もネットで下調べを済ませていましたが、期待と現実の間には大きな差がありました。本記事では、その3件の相談を入り口に、借地権付き古家の売れる仕組みと、後悔しない売り方をお話しします。
目次
借地権付きの古家や長屋は大阪市内でも十分に売却できる
借地権付きの古家は、建物がボロボロでも売却の対象になります。値段がつく理由は建物ではなく、「その土地に建物を持ち続けられる権利」にあるからです。とはいえ、その権利の値段は、多くの方が想像するよりも控えめです。
建物がどれだけ古くても「借地権」そのものに資産価値が存在する
借地権とは、借地借家法で「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」と定められた権利です。噛み砕くと、「地主さんの土地を借りて、そこに自分の建物を建てておいてよい」というだけの権利にあたります。土地そのものが自分のものになるわけではありません。
それでも、築70年の長屋で建物の価値がほぼゼロでも、この権利が残っていれば、買主は地代を払いながらその場所に住んだり、建て替えたりできます。大阪市内には戦前から残る長屋も多く、町屋くらぶにも借地上の長屋や築古建物についての相談が寄せられています。
なお、借地権には「地上権」と「土地賃借権」があり、売るときの扱いが異なります。本記事では、大阪市内の住宅で一般的に見られる土地賃借権を前提にお話しします。
路線価の借地権割合どおりの価格で売れるとは限らない理由
国税庁の路線価図には、土地ごとに60%・70%といった借地権割合が載っています。ここから「土地の相場×借地権割合=売れる値段」と考える方が多いのですが、借地権割合は相続税・贈与税の財産評価に使う指標です。そこから計算した評価額が、そのまま実際の売買価格になるわけではありません。
実際の価格を左右するのは、次のような要素です。
- 地主さんへの譲渡承諾料(名義書換料)の金額
- 購入後も毎月かかる地代の額
- 借地期間の残り
- 増改築禁止などの特約の有無(建替えや増築、大規模修繕で地主さんの承諾や承諾料が必要になることがあります)
- 接道状況や再建築の可否
- 借地条件による住宅ローンの組みやすさ
- 立地と建物の状態
こうした負担を差し引いても「ここに住みたい」と思える立地でなければ、買主は高い値段を出しません。
売却の成否を分ける「地主の譲渡承諾」と「譲渡承諾料」の基本
土地賃借権を第三者に譲るには、地主さんの承諾が必要です(民法612条)。承諾を得ずに売ると、契約解除の理由になりかねません。
承諾と引き換えに支払うのが譲渡承諾料です。金額は地主さんによってまちまちで、町屋くらぶがこれまで扱った案件でも、「売買価格の10%」という方もいれば「一律100万円」という方もいました。
✓ポイント:借地権付き古家の値段は、税務上の評価額ではなく、承諾料や地代を払ってでも欲しいと思える立地かどうかで決まります。まずは地主さんの承諾が取れるかどうかが出発点になります。
お盆休みに町屋くらぶへ届いた借地権付き古家の売却相談3件
お盆休みの最中、「すぐにでも店に行きます」という連絡が3件続きました。家族が集まり、実家の今後が話題にのぼったのかもしれません。3人とも、ネットで調べた情報を手に、期待いっぱいで来店されました。
相談1:「人気の文教地区だから、路線価の40%くらいで売れるはず」
1人目の方の長屋は、大阪市内でも人気の文教地区に建っています。「土地の相場から考えれば、路線価の40%くらいで売買できるのでは」というご相談でした。
立地がよいのは確かです。ただ、前のセクションで触れたとおり、買主は建物の代金に加えて承諾料を払い、購入後も地代を払い続けます。難波の一等地のように、その負担を上回る魅力がある立地でなければ、ネット上の計算どおりの「ドリーム価格」はつきにくいのが実情です。
相談2:「地主は更地にしたいはずだから、建物を買い取ってくれるはず」
2人目の方は、「地主さんは借地人に早く出ていってほしいはず。建物を買い取れば地主さんも得をするのだから、喜んで買ってくれるだろう」と考えていました。
地主さんへの売却は、実際によくある出口のひとつです。とはいえ、通常の売却では、地主さんに常に買い取る義務があるわけではありません。資金の都合や相続の事情から「今はいらない」と言われることも多く、価格も地主さん側のペースで決まりがちです。
ただし、借地期間が満了して契約が更新されない場合など、法律上の要件を満たせば、借地人が地主さんに建物の買取りを求められる「建物買取請求権」が認められるケースもあります。
相談3:「いっそ地主に敷地を売ってもらえないか」
3人目の方は、借地権を売るのではなく、地主さんから底地(貸している側の土地の権利)を買い取りたいというお考えでした。
地主さんから底地を取得して借地権と一本化し、権利関係を整理できれば、土地付きの不動産として売却しやすくなる可能性があります。ただし、地主さんが手放す気にならなければ話は進みません。借地人側の資金も必要になります。
3人の相談の結末
正直なところ、3人とも借地権について少し思い違いをされているように感じました。そこで町屋くらぶでは、昨年から今年にかけて実際に扱った借地権付き建物の売買事例をもとに、借地権の正体と承諾料の実情をありのままお伝えしました。
結果は三者三様です。1人は「そんなことはない!」と怒って帰られ、1人は肩を落として帰られました。そして残る1人は、名義変更の承諾料がいくらになるかを地主さんに確認し、その金額を反映した売出価格で売却を任せてくださいました。
耳の痛い話も含めて現実を知った方から、売却は前に進みます。
相談事例から分かった借地権売却で後悔しないための判断基準
3件の相談から見えてくるのは、「いくらで売れるか」より先に「誰に、どのルートで売るか」を決める大切さです。
地主との関係性によって最適な売却ルートは大きく変わる
借地権付き古家の主な売り方は、次の3つです。
売却ルート 向いているケース 注意点 地主さんに買い取ってもらう 地主さんとの関係が良好で、地主さんに土地をまとめたい意向がある 承諾料は不要になりやすい反面、価格交渉は地主さん主導になりがち 第三者に売る(地主さんの承諾を得る) 立地がよく、借地のままでも住みたい人がいる 承諾料・地代の条件を事前に詰めておく必要がある 地主さんと一緒に底地と借地権をまとめて売る 地主さんも底地を手放したいと考えている 双方の取り分の配分で揉めやすく、調整役が欠かせない どのルートが正解かは、地主さんの考え次第で変わります。最初に地主さんの意向をつかめるかどうかが、売却のスピードと金額を左右します。
再建築不可や老朽化した長屋でも買い手がつく理由
大阪市内の借地には、接道の条件を満たさず建て替えができない長屋もあります。それでも買い手がつくのは、リフォームして賃貸に出したい投資家や、隣地と合わせて活用したい方、底地とまとめたい地主さんなど、建物以外の価値を見る人がいるからです。
一般の個人向けに売りに出しても反応がない物件ほど、こうした買い手につなげられる不動産会社を選ぶことが大切です。
譲渡承諾料(名義書換料)の相場と費用負担の考え方
譲渡承諾料は、実務上、借地権価格の一定割合を目安に交渉されることがあり、「10%程度」がひとつの目安として紹介されることもあります。ただし、法律で決まった料率ではなく、契約内容や地域の慣行、地主さんとの交渉によって変わります。町屋くらぶが扱った案件でも「売買価格の10%」「一律100万円」など、条件はさまざまでした。
承諾料を売主と買主のどちらが負担するかも、売買の条件で決まります。売主が負担して売出価格に織り込むこともあれば、買主負担として価格を下げることもあります。
✓ポイント:借地権付き古家の売却は、地主さんの意向を確かめ、承諾料の金額を把握してから売出価格を決めると、値下げを繰り返さずに済みます。相談3件のうち売却に進んだ方も、この順番で動いていました。
大阪の借地権付き古家をスムーズに売却するための4つの手順
借地権付き古家の売却は、準備の順番を守るだけで話がぐっと進みやすくなります。
1. 借地契約書の内容(残存期間・地代・特約)の整理
まず契約書を探し、借地期間の残り、毎月の地代、増改築禁止や譲渡禁止といった特約の有無を確認します。契約書が見つからない場合でも、地代の領収書や過去のやり取りが手がかりになります。
2. 借地権の取り扱いに詳しい専門業者への査定依頼
借地権の査定は、一般的な土地や戸建てとは考え方が異なります。借地権の売買を実際に手がけている不動産会社に依頼すると、承諾料や地代を踏まえた現実的な金額がわかります。
3. 地主への事前相談と意向の確認
売却を考えていることを地主さんに伝え、買い取りの意向、承諾料の金額、底地を売る気があるかを確認します。長年の関係がある分、感情的なすれ違いが起きやすい場面でもあるため、間に不動産会社が入ると話がまとまりやすくなります。
4. 条件調整と譲渡承諾書の締結・引き渡し
買主が決まったら、承諾料や新しい地代などの条件を詰め、地主さんの承諾を得てから売買契約・引き渡しに進みます。承諾は法律上、必ず書面でなければならないとは限りませんが、後日の「言った・言わない」を防ぐため、譲渡承諾書などの書面に残しておくことが重要です。
地主から売却の承諾が得られない場合の対処法
地主さんがなかなか首を縦に振らなくても、打つ手はあります。
当事者間での話し合いが難航した場合は専門業者を間に挟む
承諾してもらえない理由が、承諾料の金額なのか、買主への不安なのか、過去の感情的なわだかまりなのかで、対応は変わります。第三者の不動産会社が入ることで、地主さんの本音を聞き出しやすくなり、条件の落としどころも見つけやすくなります。
最終手段として「裁判所による代諾許可(借地非訟)」を活用する
買主が土地賃借権を引き継いでも地主さんに不利となるおそれがないにもかかわらず承諾が得られない場合、借地借家法19条にもとづき、地主さんの承諾に代わる許可を裁判所に申し立てられることがあります。裁判所は、許可にあたって承諾料にあたる「財産上の給付」を条件とすることがあります。
また、この手続きでは、地主さん側が建物と土地賃借権を自ら優先的に買い取る「介入権」を行使する場合もあります。手続きには時間がかかり、地主さんとの関係も変わるため、話し合いを尽くしたあとの最終手段と考えるのが現実的です。裁判手続きを代理できるのは原則として弁護士なので、争いになりそうな場合は弁護士への相談も欠かせません。
✓ポイント:承諾が得られないときでも、交渉役を立てる方法と裁判所の手続きという二段構えがあります。いきなり裁判所に行くより、まずは間に入る専門家を探すほうが、時間も費用も抑えられます。
まとめ:まずは自分の借地権の選択肢を知ることから
大阪市内の借地権付き古家は、建物が古くても売却できます。ただし、価格を決めるのは路線価から計算した評価額ではなく、地主さんの意向と、承諾料や地代を踏まえた現実の相場です。
お盆休みにご相談に来られた3人のうち、売却に進めたのは現実を受け止めて承諾料を確認し、それを織り込んだ価格で売り出す決断をした方でした。「売れるかどうかわからない」と悩む段階で一度相談しておくと、選べるルートが広がります。
株式会社町屋くらぶは、大阪市生野区で行政書士が運営する不動産会社です。借地権付きの長屋や古家のように「難しい」「売れるかわからない」と言われがちな不動産こそ、多くの解決実績があります。士業とも連携しているため、地主さんとの話がこじれて裁判手続きが必要になりそうな場面でも、相談先までご案内できます。査定は無料で承っていますので、大阪市内の借地権付き物件のことでお困りでしたら、まずはお気軽にお問い合わせください。
